従来の集水パイプでは不可能とされていた「フィルター材」の役目を果たし、集水効果をあげると同時にパイプの目詰まりを防止
地すべり防止に大きな威力を発揮します。

    国土交通省新技術情報システム

    旧NETIS登録番号 No. KT-110082-A


概要

植毛暗渠パイプの特長

植毛暗渠パイプ

現在ボーリング暗渠工で使用される集水パイプは、塩ビ管またはガス管の有孔管(ストレート加工)がほとんどです。しかし集水パイプの目詰まりによってその機能が著しく低下しているのも現実です。

地下水がスムーズに排水されず地山の変状がみられ、集水パイプを洗滌したところ、多量の排水が認められ機能回復した現場があります。

植毛暗渠パイプの設置

そのような集水パイプの目詰まり防止のために開発されたのが「植毛暗渠パイプ」です。これは塩ビ管に静電気を利用してパイルを緻密に移植したパイプです。


従来の集水パイプでは、不可能とされていたフィルター材の役目を果たし、集水効果をあげると同時にパイプの目詰まりを防止するものです。地すべり対策工法の「抑制工」の一手段として採用され、利用されることを切望いたします。

構成

植毛暗渠パイプの標準図

目詰まりによる水流の対比イメージ図

植毛暗渠パイプの標準図


部材詳細

電着植毛加工製造工程

長さ4mm前後にカットした繊維(パイル・フロック)に静電気を利用して飛翔させ、あらかじめ接着剤を塗布した基材に植え付けます。植毛加工後に乾燥工程に送り、温風ヒーターにより接着剤の加熱硬化を行います。

加工後、接着剤に植毛されずに植毛加工品表面に付着していた余剰パイルを加振やブラシ掛けにより除去して製品が完成します。

電着植毛加工製造工程

機能テスト

1時間200mmの人工降雨を20分間継続したところ、本排水パイプからはほとんど泥が排出されなかった。一方ストリップパイプ(非植毛)の方は泥水が排出され、泥土量は下記の表のように著しく差があった。

人工降雨による機能テスト
  総量g 泥土量 含泥率
植毛暗渠パイプ 1,162 9 0.8
ストリップパイプ 2,345 1,582 67.5

目詰まりテスト

目詰まりテスト
フィルター式である本排水パイプ3本と長さ4m・内径50mm・肉厚4mm・開孔率2%の塩ビ製ストリップパイプ1本とを、湧水のある泥土の崩積土中に挿入比較した。


植毛暗渠パイプの方は浄化水が排出されつづけたのに対し、ストリップパイプの方は泥土のため間もなく目詰まりをおこし、機能テストと同じ傾向を示した。

植毛暗渠パイプの追跡調査結果

平成5年6月、道道芦別美瑛の地すべり対策工事において植毛暗渠パイプを使用し、施工後およそ9年間出水量の追跡調査をしたものです。


その結果、通常の塩ビパイプでは1年後から出水量の減少が認められました。この原因は土砂細粒分の目詰まりと考えられ、約5年後には「5~50ml/min」程度になり、それ以降は「滴水又はなし」となりました。

それに対して植毛暗渠パイプはおよそ9年間、平成14年5月まで「488~780ml/min」の出水量が確認されました。


以上により、両者の比較では植毛暗渠パイプの集水能力は高く、集水期間が長期にわたることが実証されました。

植毛暗渠パイプの追跡調査結果